#29 「彼が脈アリか分からない乙女たちへ」
SPECIAL COLUMN
#29「彼が脈アリか分からない乙女たちへ」/妹尾ユウカ
「彼は私のことをどう思ってるんだろう?」
何度この問いを自分に投げかけたか、数えきれないという人も多いのではないでしょうか。結局、それでは答えが見当たらず、彼とのLINEのスクショを友人に何枚も送りつけ、「この返信ってどう思う?」と尋ねた人もいることでしょう。もしかしたら、見ず知らずの中年占い師に相性を見てもらった人や、夜な夜な彼のMBTIについて調べた人もいるかもしれません。でも、ここでひとつ冷静に考えてほしいのです。男が本気で女性に好意を抱いている場合、それってそんなに分かりづらいものでしょうか?
私はそうは思いません。むしろ、脈アリな男は、分かりやすすぎるくらい分かりやすい。
返信が早いとか、よく目が合うとか、話をよく聞いてくれるとか。そんなレベルの話ではなく、明確に「時間を作る」「あなたのために行動する」といった、実態あるアクションで好意を示してきます。だから、「脈アリかどうか分からなくて悩む」という時点で、だいたい脈ナシだと思うのです。
「あの時間を覚えてますか?」
ここからが本題なのですが、私たちは「もしかしたら」というかすかな希望を根拠に、脈のない相手に想像以上の時間を費やしてしまうことがあります。そうした身にならない恋愛のせわしなさを「充実」と勘違いして、大したキャリアを得ることも、姓が変わることもなく、20代を終えて行く人が大勢います。これは自分を思いやることよりも、「誰かに選ばれたい」という気持ちが前に出てしまった結果です。
覚えておいてほしいのですが、“様子見をしてくる男”ほど信用できないものはありません。大手格安通販サイトのレビューと同じくらいの信用度です。はっきりと好意を伝える勇気もなければ、失う覚悟もないのに、あなたの気持ちだけはキープしておきたい。そういう男は、連絡のタイミングや距離感を曖昧に保って、期待を絶やさない程度の優しさだけを投げてくるのです。おそらく、小学校高学年の時に女だけが体育館に集められ、生理や妊娠の仕組みについて教わったあの時間に、男たちはこの術を学んでいたのでしょう。
「なんで無理なのか考えてみてよ」
こういう相手と関わることの一番の問題点は、気分や自信が常に“相手次第”になってしまうこと。連絡が来るかどうか、返事の温度感、誘われる頻度。常に相手の出方を測るような恋は、どれだけ頑張っても、すべてが運任せみたいで報われた感じがしないものです。それに、恋愛は「追いかけたほうが負け」とまでは言いませんが、惨めな思いをしていられるほど、女の時間は安くありません。
そうはいっても、たまたま目にしたこんなコラムひとつで「彼を断ち切ります」と潔く前進できる人はいません。私の文章力が至らぬこともさることながら、主な原因はお前たちの決断力不足です。恋愛において、迷うこと自体が悪いわけではありませんが、曖昧にされて迷っているだけならば、答えはもう出ていませんか。もっとはっきりと愛されたらいいし、もっと分かりやすく好かれたらいいのに。自己肯定感は、いい恋愛によって育ちます。その反面、そうではない恋愛によって、簡単に削られてしまうものでもあります。だからこそ、誰に愛されるかではなく、どんなふうに愛されるかに、もっと敏感でいてください。「私には無理」と思うのならば、なんで無理なのか真剣に考えてみてください。きっと、あなたが「無理だ」と決めつけている以外に理由なんてないはずです。
妹尾ユウカ
独自の視点から綴られる恋愛観の毒舌ツイートが女性を中心に話題となり、
『AM』や『AERA.dot』など多くのウェブメディアや『週刊SPA!』『ViVi』などの雑誌で活躍する人気コラムニスト。
その他、脚本家、Abema TVなどにてコメンテーターとしても活動するインフルエンサー。