#30 「子どもの頃、24歳の自分は結婚してると思ってた」

SPECIAL COLUMN

#30 「子どもの頃、24歳の自分は結婚してると思ってた」/妹尾ユウカ

「彼氏つくらないの?」「結婚しないの?」
悪気なく他人の人生に踏み込む人は少なくない。私も時々、その一人だ。それでも、ほんの1、2年前まではなんの問題もなかった気がするが、30歳が見えてくる年齢になった途端、「結婚しないの?」は少しグレーな質問へと変わってきた。

ましてや、既婚者によるこの質問は、"ただの好奇心"では済まない圧力を帯びてしまっている。そんなつもりがあってもなくても、きっと既婚者による「結婚しないの?」は「早く結婚すべき」に聞こえている。

「結婚すべき教にご用心」

実際、こういった質問のせいで、無理に恋愛に興味を持とうとする真面目な人たちが存在する。でも、もしまた誰かから「結婚すべき」と押し付けられるような場面に出くわしたら、それは宗教勧誘だと思って無視してほしい。

「結婚しないと幸せになれない」という教義。「イエスを信じなければ救われない」だとか、「三毒を持ち続けている限り、安らぎにはたどり着けない」だとか、宗教において語られる救済条件と、まるで構造が同じだから。もちろん、信じたければ信じればいいが、興味がなければ信じなくていい。

もちろん、結婚そのものを否定するつもりはない。素敵なパートナーと一緒に人生を歩みたいと願う人がいるなら、それは本当に素晴らしいことだと思う。だけど、「みんながしているから」という理由で自分を捨てる必要はどこにもない。興味がないなら婚活なんてしなくていい。信仰心もないのに毎週ミサに通うなんておかしな話だから。

「バツイチの変人より」

私たちは気づかないうちに、たくさんの”呪い”を刷り込まれてきた。「若いうちに結婚しないと手遅れになる」「一人では寂しい老後が待っている」「家庭を持って一人前」そんな言葉たちは、巧妙な恐怖マーケティングだと思う。不安を煽り、安心を売る。そうやって、誰かのレールに乗せようとする。だけど、自分の人生を決めるのに必要なのは、恐怖でも不安でもなく、自分の「興味」と「意志」だけ。誰にでも当てはまる、生き方の正解なんてない。

結婚したからといって、幸せが保証されるわけでもなければ、結婚しなかったからといって、不幸になるわけでもない。それなのに、なぜか結婚した人は、自分たちの選択を正当化するかのように、無意識のうちに未婚者を脅しにかけてしまうことがある。実際、私もよく「35歳を過ぎて結婚歴がない奴は全員変人」と言っているし、本気でそう思っているのだが、そんな自分はバツイチ子持ちの変人である。

だから、"結婚すべき教"の勧誘は、本当に気にしないでほしい。もっと言えば、そんな勧誘に負けないで欲しい。誰かに「これが幸せだよ」と脅されてもビクともしないほどの、あなたの幸せを作ってほしい。「自分の幸せがなんなのか」それさえ確立することができれば、きっとブレない自分になれるから。

妹尾ユウカ

独自の視点から綴られる恋愛観の毒舌ツイートが女性を中心に話題となり、
『AM』や『AERA.dot』など多くのウェブメディアや『週刊SPA!』『ViVi』などの雑誌で活躍する人気コラムニスト。
その他、脚本家、Abema TVなどにてコメンテーターとしても活動するインフルエンサー。

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