#25「男女のマンネリ解消法」/妹尾ユウカ
SPECIAL COLUMN
#25「男女のマンネリ解消法」/妹尾ユウカ
「もう彼のことを好きか分からない」
交際期間が長くなると、女が直面しがちな課題。今すぐに別れたいというわけではないけれど、このままでいいのかも分からない。当たり前になった好きなところといくつかの明確な嫌いなところ。なんだか全てが面倒くさい。出会った頃に戻りたい。
安定とときめき問題
ちょうど2年ほど前、私もこんな気持ちになっていた。いわゆるマンネリというやつなのだろうか。どちらが先かは分からないが、女が男の優しさや愛らしさを当たり前に感じていくのと同様に、男も女に特別感や緊張感を感じなくなる。頑張らなくなる。一説によると、そうしてこそ二人は安定した関係になっていくらしいが、それにこそ女は不満が募る。そういうものではないだろうか。
出会った頃によく花をくれた男が、ずっと花をくれる男だったことはほとんどない。男は最初に頑張りすぎる。それなのに、恋を始めた女には、その男が「頑張っている人」ではなく「素でそういう人」に映ってしまうし、もしもこの時に前者だと知ったところで「私のために頑張ってくれて嬉しい」と友達に惚気てしまうのがオチ。まったくもって意味がない。
「ならば、初めから頑張らなければいいのか?」
間抜けな声が聞こえてきたが、誰もそんな男には恋をしない。
まずは私から
出会った頃のあの人を取り戻すためにはどうすればいいのか。そう悩んだ時には、こちらから先に出会った頃の自分に戻ってみるのが賢明である。良くなった部分はそのままに、だれた部分を正していく。毛が寝てくすんだジェラピケは捨てろ。お風呂キャンセル界隈?ふざけるな。そんな女に誰が頑張る。まずは彼が最初に自分を好きになってくれた理由を考え、その頃のやりとりも読み返し、こちらも変わってしまっていたことを自覚する。「してくれなくなったこと」を嘆く前に「してあげなくなったこと」に励むのだ。
"彼の周りにいた他の女たちと比べて、自分にはどんな強みがあったのか"これを忘れてはマンネリ化する。献身さが売りで選ばれた女が、朝まで飲んで帰るんじゃない。胃袋を掴んで手にした男にUberばかり頼ませるな。余裕が魅力だったのに、元カノのインスタをコソコソ見るな。
男だってそう。自分のどこに彼女は惚れて、どんな未来を想像して、お前を選んだのか考えろ。そして、やり始めたことはやり続けろ。なんでもない日に贈った花は何年経っても贈るんだ。誕生日や記念日に「もうそろそろいいかな」なんてない。彼女はお前のお母さんではないのだから、"女として愛されている"という実感なしにお前のパンツは畳めない。
多くの場合、二人の将来のためには男の方が恋愛以外のことも頑張らなくてはならないので大変だとは思うが、それを理由に仕事や先のことばかりを追いかけて、彼女との関係を蔑ろにしてしまっては本末転倒。今の二人の積み重ねにしか、将来の二人はないのだから。ちなみに、女にとっては"社会的成功を収めている彼氏が溺愛してくれる"という状態がおそらく最も理想的なのだが、そんな両立を器用にし続けられる男など滅多にいない。だから、女は社会的成功を収めている彼氏と付き合いながらも、溺愛してくれる男からのアプローチに揺れるのである。逆もまた然り。
そこにいる意味を与えよう
常に男女というのは複雑だが、人と人とは単純である。結局、お互いにしてもらったことへの感謝を伝え続けることさえ出来れば、ちょっとの衝突や中弛みくらいどうってことはない。月並みな答えだが、飽きや慣れの解消法は感謝を忘れないことに尽きる。さらに、承認欲求というものはSNS上だけではなく、身近な関係にも存在する。だから「相手の役に立てた」とか「自分がいることに意味がある」と思わせられるかが重要である。好きな人に対して、なにかをしてあげることが惜しいんじゃない。してあげたことを認めてもらえない、喜んでもらえないことこそが最も悲しいことなのだ。
妹尾ユウカ
独自の視点から綴られる恋愛観の毒舌ツイートが女性を中心に話題となり、『AM』や『AERA.dot』など多くのウェブメディアや『週刊SPA!』『ViVi』などの雑誌で活躍する人気コラムニスト。
その他、脚本家、Abema TVなどにてコメンテーターとしても活動するインフルエンサー。