#10「Saucy Dogを聴いてセフレ沼にハマってる女たちに聞かせたい、いい男の条件」/妹尾ユウカ
SPECIAL COLUMN
#10「Saucy Dogを聴いてセフレ沼にハマってる女たちに聞かせたい、いい男の条件」/妹尾ユウカ
「いい男ってどんな男ですか?」弱冠24歳にして、幾度となくこの質問をされてきた。もちろん、街中の男と寝てきた経験から、自分の中にはいくつか明確な条件があるのだが、私は"お人好し"とは縁を切った人間なので「人によるんじゃない?」と答えている。
おまけに、いい男とはどんな男かを教えたところで、質問者が必ずしもいい男を選ぶわけではないこともよく知っている。だから、そんなことに真剣に取り合うくらいならば、U-NEXTの『AND JUST LIKE THAT...』を早急に見進めて、高過ぎるサブスクをさっさと解約したいというのが本音ではあるが、あまりにこの質問をされることが多くなったので、大衆的いい男の条件をここに書き留めておこうと思う。
1.根に持たない
これは主に先天的なものなので、努力だけで得ることは難しい、一種の才能である。実にバカっぽい響きだが「大体のことは寝れば忘れる」「一服したら切り替えられる」という男は本当に素晴らしい。ぜひ全員に拍手とカートンとテンピュールを贈らせて欲しい。
私は喧嘩をした翌朝、何事もなかったかのように「おはよう」と相手から挨拶をされると、悔しさとリスペクトで参ってしまう。対人関係には、どんなに向き合っても分かり合えないことや譲りきれないことが必ずある。そんな折り合いの付かない問題と真剣に向き合おうとすればするほど、解散、崩壊、破滅の道を進んでしまうのはよくある話。らちの明かない議論は望まぬ極論が終着地点になったりもする。だからこそ、休戦的な意味合いでその問題からは目を背け、前向きな方向で"なかったこと"にできる男を私は讃えたい。出来れば、お礼に咥えたい。自分の機嫌をコントロールできる男は「いい男」と呼ぶにふさわしい。
2.話をきちんと聞く
スマホやゲームなどといった、何かしらの作業をする手を一旦止めて、相手の話を聞ける男はLouis Vuitton × NIGOよりも遥かに希少なのである。特に関係が長くなるにつれ、シングルタスクの癖に手を止めない輩は多くなるのだが、これは「お前の話に興味がない」もっと言えば「お前にもう興味がない」と捉えられても仕方がない。出来る人にとっては当たり前のことなので、「こんなことがいい男の条件に入るの?」と違和感を感じるかもしれないが、これが出来ることによって、女子会でお前の愚痴がアラカルトにされる機会は格段に減っているのである。
3.愛されているという確信をくれる
いい男は不安や疑問の代わりに、常に「私は愛されている」という確信をくれた。いい男とそうではない男。どちらとも交際してきたが、前者に分類された男たちは皆、家庭環境に恵まれており、経済的に特段裕福というわけではなくとも、家族関係や両親の夫婦関係が良好な環境下で育ってきた人たちだった。そして、本人たちの自分が生まれ育った家庭環境に対する評価は、共通して「うちは本当に普通の家」だった。おそらく、当たり前に愛されてきた人たちは、人を真っ当に愛する方法もごく当たり前に知っているのだろう。彼らが私に愛を惜しみなく与えてくれたのは、彼らも惜しみなく愛を与えられてきたからなのだろう。
4.自己肯定感を高めてくれる
「女は愛される方が幸せ」と昔からよく聞くが、私も最近になってそう思う。もちろん、愛する人に「なんでもしてあげたい」といった気持ちが芽生えることも幸せだったが、そこには確かに見返りを求めたエゴが存在していたし、愛ゆえになんでもしてあげたかったというよりは、なんでもしてあげることしか、その人から愛される方法がなかったのかもしれない。自分が相手にしてあげたことは全部、自分が相手からされたかったことだったのかもしれない。
とはいえ、幸せというものは人から与えられるものではなく、自分で決めるものなので、愛することと愛されることのどちらが幸せかは、自分の自己肯定感が満たされる方を選んだら良いと思っている。だから、たとえ振り向いてもらえなくても「この人といると自分を好きになれる」と感じるのであれば、それが今のあなたの幸せで間違いはなく、大事にするべき相手である。ただ、最後に愛され推奨派の私から伝えたいことは、愛する人に愛されることは理想的な話だが、愛してくれる人が愛する人になるのは現実的な話であるということ。そして、満たされている女は輝かしいという証明できない現実がこの世には確かにあるということ。
妹尾ユウカ
独自の視点から綴られる恋愛観の毒舌ツイートが女性を中心に話題となり、『AM』や『AERA.dot』など多くのウェブメディアや『週刊SPA!』『ViVi』などの雑誌で活躍する人気コラムニスト。
その他、脚本家、Abema TVなどにてコメンテーターとしても活動するインフルエンサー。