#8「恋愛市場で得た知見」/妹尾ユウカ
SPECIAL COLUMN
#8「恋愛市場で得た知見」/妹尾ユウカ
容姿と愛嬌は最強の装備
容姿が特段に優れていなくても大丈夫です。私が保証します。ただ、第三者目線で"可愛いかブスか"の二分化をした時に、確実に前者に入る必要はあります。とはいえ、人には好みというものがありますし、全世界を対象に私は可愛いかブスかのアンケートを取ることは出来ないので、意中の男性の周りにいる女性たちの中で、自分が可愛いサイドの人間に値するかを測ってください。値しないのであれば、それはもう努力をしてください。投げやりな言葉に聞こえるかもしれませんが、恋愛市場において容姿はとても重要です。今よりも容姿が優れることによって、恋愛は想像以上に上手くいくのが現実です。そして、自分の努力次第で変われるので、これは決して悲しいことではありませんし、もしも容姿を良くして意中の相手と上手くいかなかったとしても、あなたが損をすることは一つもありませんからね。
容姿が65点だとしても、残りの35点は愛嬌で簡単にカバー出来ます。愛嬌とは一体なにかというと、私は「分かりやすさ」だと思っています。例えば、照れている姿が分かりやすいとか、喜んでいる姿が分かりやすいといった、いわゆる素直さのようなものです。特に男性は面倒なことを嫌うので、分かりやすさという愛嬌も恋愛市場で勝ち抜くためには必須の装備です。
「好きな人には好かれなくて、好きじゃない人には好かれる」は当然
第一に好きな人にそのままのあなたが好かれない理由は、シンプルに相手よりも自分のスペック(容姿や知性などの魅力)が総合的に低い、あるいは相手が求めているスペックを持ち合わせていないからです。逆に、好きじゃない人から好かれる理由は、相手よりもそのままのあなたの方がスペックが高いからということになります。人は基本的に相手のなにかしらを「自分よりも優れている、魅力的である」と判断して恋に落ちるので、「好きな人」というのは自分よりも格上の存在であることが多いです。ですから、そうした相手を前にして、格下であるお前がそのまま寝転んでいるだけで愛される未来など当たり前にないというわけです。
お前がそいつと付き合えないのは交際前にセックスをしたからではない
「交際前にセックスをしたら付き合えませんか?」「付き合う前にカラダを許してしまいました」といった相談を受けることが多々ありますが、私としては「だからなんだ」って話です。もちろん、「知らない女と知らない男のその情報マジでどうでもいいんだけど」という意味合いも込めて「だからなんだ」と言いたいのですが、なにより「交際前にセックスしたからってなんだよ」と思うんです。
家を買う時に内見をしたり、車を買う時に試乗をするのと同じ感覚で、私は絶対に交際前にセックスをします。"裸を見たことがない人"は"よく知らない人"に値するので、よく知らない人とは付き合うわけにはいきませんからね。実際にこのスタンスで恋愛をしていく中で、これまでお付き合いをしてきた男性たちとは全員セックスをした後に交際しています。なんなら、出会った初日にセックスをした相手がほとんどです。だから、本当に問題視すべきは交際前にセックスをさせたことではなく、相手にとって「セックスをさせてくれる」以上の魅力や価値がお前にはないという点です。何十年も生きているくせに、初期装備であるそのカラダ以上に興味を持ってもらえるものを持ち合わせていない薄っぺらさです。
悪いところを治すよりも良いところを伸ばせ
先日、なんの映画だかは分かりませんが、女がおそらく意中の相手である森山未來に対して、「悪いところは全部治すからああああ」と泣いてすがる映像がTikTokで流れてきたのですが、別に悪いところを治したからといって好かれるわけではないんですよね。だって、悪いところがあるというのはマイナスがあるということなので、それを治したところでマイナスがゼロになるだけですから、当然、プラスの作用はありません。とはいえ、治せるなら治すに越したことはありませんが、良いところを伸ばす方が"好かれる"という観点においては優れています。
結局モテるのは喜び上手な女
生い立ちなんかも関係しているのかもしれませんが、尽くすことで愛してもらおうとする女がいます。自分の魅力の低さをとにかく尽くすことでカバーしようとしているのでしょう。そして、愛とは自己犠牲に近い奉仕の見返りとして、やっと得られるものだと勘違いをしているのでしょう。
男を喜ばせるのが上手なのもいいですが、巷で愛されるのは喜ばせ上手な女よりも喜び上手な女です。これはシチュエーションがベッドであってもそう。なにかしてもらった際に、遠慮や謙遜をする謙虚な女よりも、全力でご好意を受け取り、少しオーバーなくらいに喜ぶ女が可愛がられるのが現実。「また喜ばせてあげたい」と思われるのは喜び上手な女です。
支配・統制できるのは愛よりも恐怖
「浮気をしても、最後に自分のところに戻って来ればいい」という肝の据わったスタンスの女性に憧れを抱く気持ちは分かります。しかし、私たちは梨園の妻ではありませんし、本当は浮気をされたりぞんざいな扱いを受けたくないというのであれば、ハッキリと「ナメたら殺す」と言っておいた方がいいです。無難なのは「あなたがテキトーなことをしないって分かっているよ」と相手に期待と信頼がある姿勢を見せることですが、いつの時代もなにかを完全に支配・統制できたのは、愛ではなく恐怖です。いかに愛しているかを語るよりも、裏切ったらどうなるかをきちんと分からせておく方が効果的です。とても例えが悪いですが、犬が留守中に家を散らかした際に「どうしてこんなことをするの?」と悲しむよりも、「お前ふざけんなよ今日はメシ抜きな」と教育された方が悪戯が繰り返されないのと同じです。
ちなみに一番最悪なのは「どうせ裏切るでしょ」といったスタンスで相手と向き合ってしまうこと。自分に期待や信頼をしていない相手を裏切ることは容易にできます。「君には期待しているよ!」と肩を叩いてくれた上司と「まあお前にはできないと思うけど頼むわ」と言い放った上司。誰しも前者の期待には応えたいと思うはずです。もちろん、仕事においては「後者をギャフンと言わせてやりたい!」という思いが湧くこともあると思いますが、「期待に応えられなかったらどうしよう」といった不安や、果たさないことへの罪悪感はないはず。なので、前者のように期待や信頼をしている姿勢を見せることが、裏切られないために必要な先手必勝の一撃となります。
妹尾ユウカ
独自の視点から綴られる恋愛観の毒舌ツイートが女性を中心に話題となり、『AM』や『AERA.dot』など多くのウェブメディアや『週刊SPA!』『ViVi』などの雑誌で活躍する人気コラムニスト。
その他、脚本家、Abema TVなどにてコメンテーターとしても活動するインフルエンサー。